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Jenre

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兎薔薇 / 2012.01.01 (Sun)

不毛だわ……。その呟きはいつもと同じトーンの何の意味ももたないものだった。だからハンサムも適当にあしらって流してくれていた、いつもは。
じゃあぼくとつきあいますか。その言葉は意味を伴わないで耳に届いた。数秒遅れて正しく理解すると同時に、素っ頓狂な声が口から漏れた。そんな顔しなくても、とハンサムが顔を歪めて言ったことで、自分の眉間に酷い皺がよっていたことに気付く。冗談に決まっているでしょう。あっ、あたりまえじゃない!すたすたと去っていく背を見送りながら頬を手で押さえる。一瞬たりともそれを想像してしまった自分が悔しい。


空折百合 / 2012.01.01 (Sun)

 トレーニングルームの休憩室で顔を合わせたキースはやけにご機嫌だった。挨拶をしてから隣に腰をおろし、思い切って尋ねてみる。
「いつにも増して楽しそうですけど、何かいいことでもあったんですか?」
「わかるかい!? 実はね、バーナビーくんがマニキュアを塗ってくれたんだ。ほら!」
 キースは答えながら両手をパーにしてイワンに見せた。綺麗な形をした指の先には、パールの混ざった紫が輝いている。
「わぁ、素敵ですね……スカイハイカラーだ」
 それを塗ったのがバーナビーという事実がイワンにとってはあまり面白くなかったが、その感情は押し殺して爪を褒める。
「うん、勿論それもあるんだけどね」
 キースはにこにこ顔のままそこで一度言葉を区切った。きょとんとしているイワンの顔の横にキースは手を広げて、満足げに頷いた。
「やっぱり――イワンくんの瞳と同じ色だ」
 瞬時に頬を真っ赤に染めたイワンを見て、キースはまた嬉しそうに笑った。


空折♀R-18 / 2012.01.01 (Sun)

イワンは時々驚くほど大胆なことをする。広いベッドの端で戯れていたら彼女は床に膝をついて、私の足の間に陣取った。はじめは口でしてくれるのかと思ったが、どうにも違うらしく少し逡巡してみせた。根気よく待てに耐えていると、意を決したイワンが行動にでたのだが、柔らかく豊かな胸で自身を包み込まれたのだからたまったものじゃなかった。今まで味わったことのない種類の気持ちよさに身を硬直させると、イワンは不安そうに見上げてきた。気持ち良くないですかって、まさかそんな訳があるはずない。全力で否定すると、イワンはほっとした顔を見せ、そのままゆっくり胸を上下させはじめた。頂がこすれるのが気持ちいいのか、時折かわいらしい声を唇から漏らす。むしろ癖になりそうだという言葉は胸の内に留めて、顔にかかったプラチナブロンドをそっとかきあげた。


文仙 / 2009.10.18.(Sun)

空気が乾燥した木枯し舞う日、切れた、という呟きに反応して視線を送る。唇を彩る真っ赤な血と白い柔肌との、色の対比の艶めかしさに思わず喉が鳴った。そのまま引き寄せられるように唇をよせれば、ガリッという音が聞こえる程強く舌を噛まれた。調子に乗るなと続く言葉。簡単に口開けやがったくせに!


あらしのよるに (雑伊) / 2009.10.18.(Sun)

立て付けの悪い障子の外でごうごうと風が唸っている。こんな嵐の晩には、あの人がふらりとやって来ることを知っていた。敢えて消されていない気配を察して、荒れる障子を開く。予想通りの彼はにこりと目を細めてみせたけれど、肝心の目が笑ってませんよ、雑渡さん。「こんな晩は傷が疼いていけないね」