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Title List

Jenre

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水金 / 2013.02.09 (Sat)

一番よく聞かれる質問は、どうして水戸部の気持ちが分かるのか、ってこと。でもそれが俺にとっては当然だから、どうして、なんて言われても分からない。昔に一度だけふっと不安になって、もしかして俺の言ってることと水戸部の思ってることって違ってたりする? と水戸部に聞いてみたことがある。そしたら水戸部ははっきりと首を横に振ってくれた。だからそれ以来、俺は水戸部の気持ちを代弁している。でもたまに、敢えて言わないときもある。だってそしたらその気持ちは俺だけが独り占めできるじゃん?


緑高緑 / 2013.02.09 (Sat)

白い肌、その指先に光る短く均等に切りそろえられた健康的なピンク色の爪、完璧な比率の位置に備えられた関節、うっすら甲に浮かぶ骨と血管、なによりバスケットボールをしっかりと捉えられる大きさの手の平。緑間を構成する身体の各部の中でも一等、その手が高尾は好きだった。こんなに美しい手を他に知らない。見ていて飽きない美しさが、そこにはあった。神に与えられた賜物は、彼自身の努力によって最善の状態に仕上がっている。そして大好きなその手が自らに触れるとき、泣きたいほどの喜びが身体中を駆け巡るのだった。


文仙(2年生) / 2013.02.09 (Sat)

 一年以上の時間を一緒にすごして、仙蔵が泣いているところを一度たりとて見たことがなかった。彼は他の同級生とは明らかに違う雰囲気を纏っていた。そんな彼が部屋で膝に顔を埋めて蹲っていたものだから、文次郎の鼓動は大きく跳ね上がった。無意識に足音を殺して、彼の目の前にしゃがんだ。顔を覗きこもうとすると、それよりはやく頭が上がった。爛々と光る黒い瞳が、きつく文次郎を射抜く。整った顔立ちが壮絶なほど美しく見えて、文次郎は瞬間息が止まった。
「――泣いているのかと、思った」
「ばかもの、誰が泣いたりするものか」
 部屋に響く声には強い決意が含まれていた。この瞬間から、文次郎は仙蔵という存在から目を逸らすことが出来なくなった。その後五年間、ずっと。


利仙 / 2012.12.31 (Mon)

優秀な忍であればあるほど、自らの、そしての相手の実力というのはよく分かる。だからこそ、仙蔵はこの人に会うのが苦手だった。会う程かなわない実力差を思い知らされているような気分になるのだ。笑われる度、まだまだだと暗に言われている気がして、奥歯を噛みしめ釈然としない気持ちを誤魔化した。


黒黄 / 2012.11.07 (Wed)

身長の割に小さな顔にかかる髪は色素が薄い。それでも自分のそれとは違い、光をきらきらと反射して輝く。思わず目を細めると、くるりと金色が翻った。咄嗟に視線を反らす。別に見てないですよ。自意識過剰じゃないですか。嘆きを零した彼がまた前を向く。そして僕はただ静かに再びその輝きを見つめた。