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Title List

Jenre

All / RKRN / Kuroko(XKise/other) / APH(rtmt/other) / T&B / SW / Other

火黄♀ / 2013.02.09 (Sat)

可愛いって言われなくなった。目を逸らされるようになった。手を繋がなくなった。他にも色々、たくさん。付き合って三年目とかならともかく、まだ一ヶ月だ。恋人として進展すらしていないのに、飽きられてしまったのだろうか。彼の相棒に相談すれど、溜息しか返ってこない。「本人に直接言って下さい」


三十路青黄 / 2013.02.09 (Sat)

気持ちいいのが嫌じゃないのと、だからってヤりたいのとは、それぞれ違う場所にある。そのことを、目の前の男はちっとも理解していない。気持ちと下半身が直結しているようなバカには、何を言ってもしょうがないのかもしれない。何十回目かまた流されて、頭の端でおもう。数えるのはとうの昔にやめた。


赤黄 / 2013.02.09 (Sat)

完璧と持て囃される黄瀬にとっての完璧は、赤司を知ってからずっと彼ひとりだった。絶対的な勝者である彼に敵うものを、今も昔も知らない。たとえ同じキセキの世代と呼ばれようと、同じユニフォームを着て同じコートを走ったことがあろうと、永遠に黄瀬に赤司の考えは分かる気がしない。さして変わらないよ、と彼はうたったけれど、黄瀬はその言葉を信用していなかった。一日くらい彼になってみたい。彼が二つの色彩をもつその目で何を見て、形の整った耳で何を聞いて、何を感じているのか知りたい。そう考えた直後、彼のかわりになるだけでは彼の考えまで知ることは出来ないのだと気付く。全てを理解しあえる人間なんていない。それでも一つでも多く、彼のことを知りたかった。


赤黄(赤司誕) / 2013.02.09 (Sat)

冬の冷気に同調して、携帯の画面は驚くほど冷たい。それでも画面に指を滑らせて、無意味な動作を繰り返す。いつでも連絡していいと恋人は言ったけれど、いつでもとは、いつのことだろうか。常識的に考えれば、日付が変わってかなり時間の経った今は、いつでもに含まれない。それでも今日なら、彼なら、許される気がした。自惚れだけど、待っているかもしれない。そうでなくとも、いまどうしようもなく通話したいことぐらい、彼にはお見通しではないだろうか。踏み切れない気持ちの代わりに短いメールを作成して送信した。送信完了するとほぼ同時に手の内で震えた。息を大きく吸って、耳に携帯を当てる。


灰黄(とキセキ) / 2013.02.09 (Sat)

 特に約束したわけではなかったが、夕食は何となくキセキで集まって皆で一緒に食べた。食後の僅かな自由時間は、のんびりとした閑談にあてられた。そんな中、電子音のメロディが響いた。皆の視線を集めた黄瀬は、慌てて携帯を手にし、ごめんと立ち上がった。
「もしもし? あー、うん、平気っス。電話なんてどうかしたんスか?」
 そのまま黄瀬は食堂から立ち去ろうとしたが、興味を示したキセキはそれを許さなかった。隣に座っていた青峰が黄瀬のシャツの裾を引きとめる。
「わっ、あ、や、なんでもないっス。うん、もー、ショーゴくんは心配しすぎっスよ。自分の身くらい自分で守れるし、大丈夫っス」
 青峰の制止を振り切ろうとするも、片手では上手くいかない。相手が灰崎と分かったキセキは余計に興味津々になったからなおさらだ。周りを気にして声をワントーン下げた黄瀬が、携帯に語りかける。
「……てゆーか、俺が付き合ってんのはアンタじゃん。俺が浮気するって思ってるんスか? そう、分かればいいんスよ。ん、おやすみっス」
 そのあまりにも優しい声色に、キセキは揃ってぽかんと口を開けた。黄瀬がその後自由時間いっぱい質問責めにあったのは、言うまでもない。