TOP >
Page
タグ「伊仙」の検索結果は以下のとおりです。
120416 朝露にほころぶ花の気配(伊仙)
緑は日を増すと共に色合いを深めていた。花のにおいも際立つばかりだ。今日は雲ひとつなく、陽が葉に降り注ぎきらきらと反射している。学園の平穏な日常の中でも特にいい日だ。ただし自分が天才トラパー綾部喜八郎の掘った穴に落ちていることを除けば、だが。 天気がいいからと言って上ばかり見て歩いていたのがいけなかった。円形に切り取られた空を見上げて、ふうと小さく溜息を吐く。天頂から差し込んでくる陽は温かだが...
110504 夜明けはそこに横たわる(伊仙)
戸が開かれたことに気づいたのは、音でも気配でもなく、桜の花びらが舞い込んできたからだった。 「おかえり。くノ一かと思った」 戸の方を見やれば、そこには女性――の格好をした仙蔵が立っていた。こんなに見事に気配を消すことができる人物なんてそうそういないから、くノ一ではないだろうと分かっていた。それでもその美しさだけならくノ一にも勝るとも劣らないだろう。しかも月明かりを背負うことで、常よりいっそう...
Pagination
- previous
- next
- Page
- 1